主夫ポン吉、徒然なるままに

20年以上前から主夫をしているポン吉の備忘録のようなブログ。

森のポン吉、お嬢さんお逃げなさい!

天気が良かったので、わんこと長めの散歩に出かけることにした。

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森の散歩道

いつもはあまり散歩に行かない裏山にわんこを連れて出かけた。

このコースは山の中に入ると草木が生い茂っていて、けっこう薄暗いところもあるので、夕方ではなくて朝の散歩に使っている。

ポン吉とわんこが裏山の入口から山道に入ろうとした時、

後ろから小学生くらいの女の子が「おはようございます」と言ってきた。

ポン吉も挨拶を交わすとその女の子はポン吉たちを追い越すように山道に入って行った。

この裏山の森は、リスや蛍がいたりして自然が豊かなので、小学校の先生が生徒を引き連れて自然観察に来ることも多い。

ポン吉の4人の子供たちも何度か授業でこの森を訪れたことがある。

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しかしその日は、山道を通ってしばらくしても、ポン吉とわんこ以外はその女の子だけだった。

しかも状況としては、ポン吉は女の子の後を歩いていたので、見ようによっては後をつけているようにも見えなくはない。

逃げる少女、追うおじさん

ポン吉の自意識過剰だったかもしれないが、とにかく状況を打開しようと思い、

ポン吉はわんこを連れてその女の子より前を歩こうとした。

すると女の子は、ポン吉たちに抜かれまいと早歩きになった。

ポン吉も子供に負けるわけにいかないので、大人げなく女の子を追い抜いた。

そんな一進一退が続いていると女の子は楽しそうに笑い出し、わんこの頭を撫でながらポン吉たちと一緒に歩くようになっていた。

女の子はポン吉ではなくて、わんこに話しかけていた。

この状況は親子で犬の散歩をしている微笑ましい光景に見えると感じていたので、しばらくのあいだポン吉・わんこ・女の子が並んで歩く状況を続けることにした。

たぶん女の子は自然観察の授業中に先生や他の生徒たちを見失ってはぐれてしまったのだろう。

ただ山道は1本道だったので、いずれみんなと出会えると思ってポン吉は安心していた。

しかし森の出口が近くになってきた頃、

突然女の子が大きな声で「おかあさ~ん!」と叫ぶように言って、

森の出口に向かって走り出したのだ。

ポン吉が驚くよりも、もっとびっくりしたのはわんこだったようで、女の子のあとを追いかけるように走り出した。

いつもはポン吉を引っ張ることはしないわんこだったけれど、急に女の子が駆け出して興奮したのか凄い力でポン吉を引っ張り出した。

「ちょっ、ちょっと待って!」

とポン吉はわんこに言ったのだが、走り去る女の子に言っているようにも聞こえただろう。

状況としては、逃げる女の子を追いかけるわんことアラフィフのおやじだった。

第三者が見ていたら、「お嬢さん、お逃げなさい!」と声をかけただろう。

状況は有罪?

状況はポン吉にとって非常に良くなかった。

女の子が森から出て行ったのとほぼ同時に、森に入ってくる女性がいた。

きっと女の子のお母さんだろう、叫び声にあわてて駆けつけたに違いない。

森の中にはポン吉とわんこだけ、

「散歩をしていただけなんです」は通用するだろうか?

ポン吉のわんこはすでに走るのをやめていたので、ポン吉たちは前からやってくる女性を待つような状況だった。

まるで観念した犯人が刑事さんに逮捕されるのを待っているようなワンシーンだ。

女性はポン吉の前で立ち止まると「女の子ですか?」と言ってきた。

いきなり核心をついてきたので、ポン吉も「ええ、10才ぐらいの」と答えていた。

すると「えっ~!もっと若く見えますよ。毛艶もいいし」と女性が言った。

ポン吉は女性がわんこのことを言っていることに気が付いた。

しばらく立ち話をしたが、不思議なことに女性は女の子を見かけなかったらしい。

うす暗い森から出ると空は青々として清々しかった。

不審者になりかけた男の気持ちから善良な市民の晴れ晴れとした気持ちに入れ替わった気がした。

結局

森の中では先生や他の生徒に会うことはなかった。

森の外には、すぐ近くに小学校があった。

その日は学校開放日か何かで授業参観に来ている人たちでにぎやかだった。

でもそういう日には課外授業なんてないはずなんだけど、

いったいあの女の子は何をしてたんだろう。

無事におかあさんの元に行けたんだろうか。