ミニマリスト気分で部屋掃除
部屋の大掃除
ホームステイに来る人のために、今は一緒に住んでいない長男の部屋を利用しようと思ったので、徹底的に掃除することにした。
目に見える範囲は主夫であるポン吉が日常的に掃除していたが、机まわりやクローゼットの中など目に見えないところは手つかずだった。
とにかく物が散乱しているので、息子にいるものといらないものを確認したら、
全部いらないというあっさりとした返事があった。
そこでまず本やノートなどの紙類を思い切って紙ごみとして処分することにした。
あれこれ考えずに全部捨てていいので、作業は思った以上にはかどった。
部屋にあった紙類を片づけると、かなりすっきりしたこともあって、少しだけミニマリスト気分を味わっていた。
本や冊子などはゴミ袋ではなくビニールひもで縛って処分するので、ゴミ袋に入れずに一か所に集めていた。
後からまとめてひもで縛ろうと思っていた。
片付けがひと段落した時に、捨てる予定の一冊の本に目が留まった。
それは長男が通っていた小学校の卒業アルバムだった。
全部捨てるつもりで、いちいちよく見ることもなく一か所に集めておいたので、気がつかなかった。
卒業アルバムはどう考えても、捨ててはいけないはず。
思い切れる人
息子は昔から「0か100」で行動するところがあった。
いちいち父親にいるものといらないものを確認されるのは面倒だったのかもしれない。
「全部いらない」という息子の言葉を真に受けて、ついついミニマリスト気分で全部捨ててしまおうとしていたポン吉が間違っていた。
すぐに先ほど目にした卒業アルバムと一緒にまとめていた本類を確認すると、
息子が祖父から頂戴した明治時代の文豪の自筆原稿や、有名な作家のサイン入り書籍などがあった。
危うくゴミとして処分してしまうところだった。
こうなってくると、ポン吉の心からさっきまでのミニマリスト気分は吹っ飛んでいた。
ポン吉はもともと「もったいない」という意識が非常に強くてなかなか物を捨てられない。
ポン吉が捨てても良さそうなものと取っておいた方が良さそうなものをひとつひとつ分別しているところに、奥さんがやってきた。
ポン吉の奥さんは性格的には長男に似ている。
奥さんの辞書に「遠慮深謀」という言葉はない。
すぐに決断が下された。「全部取っておく」
結局
大量にある紙類は全部、長男の部屋から出してポン吉夫婦の部屋に移動しておき、長男がやってきた時にちゃんと本人に確認させて処分することになった。
一度は紙ごみとして処分されかけた大量の紙類は、ポン吉夫婦の部屋を所狭しと占拠することとなった。
やはり、ポン吉にはミニマリスト的生活は無理のようだ。