物持ちが良いとミニマリストになれない?
子供を連れてポン吉の実家に行った際に、子供たちがポン吉の高校生の時のアルバムを見て笑っていた。
物持ちが良い
30年以上も前の父親の姿は今と全く違うので、たしかに面白いだろう。
子供たちが一番驚いていたのは、ポン吉の水着姿だった。
と言ってもポン吉の若かりし肉体ではなくて、水着そのものに驚いていた。
その水着は30年以上経った今も、現役で活躍している。
ポン吉が今でもその水着を着ているのを子供たちは知っているのでびっくりしていたのだ。
子供たちはアルバムのページをめくるたびに高校時代のポン吉の服装チェックをし始めた。
するとセーターやジージャンなど、いまだに着用しているものが結構あった。
しかしポン吉が実家に帰省して毎回おどろかされるのは、リビングにあるエアコンだ。
いや正確には冷房機能しかないのでクーラーだ。
そのクーラーはポン吉が小学生の頃から使用しているので、もう40年以上も稼働していることになる。
もちろんリモコンなどない。室内機のヒモを引っ張ると電源のオンとオフが入れ替わる。
電気代を考えると新しい物に買い替えた方が安く済むように思うが、実家の母に言わせると、「そんなことを気にしていたら家の中の物、全部買い替えないといけなくなる」とのことだ。
たしかにポン吉の実家には昭和時代に購入した物が多い。
母の遺伝子を受け継いだポン吉の家でもやはり、購入してから20年以上経っている物が多い。
ただ、物が壊れないので使い続けているだけだが、もう使うことがなさそうなものも結構ある。
物を所有しないスタイル
ポン吉と全く違うライフスタイルの人を紹介してもらったことがある。
その人は物をほとんど継続して持つことがなかった。
今で言えばミニマリストだったのかもしれない。
彼の住んでいる所を訪ねてまず違和感を感じた。
彼は持ち家でもなく賃貸でもない場所に住んでいた。
ホテルだ。
彼は独身だったのでそういうことが可能だったのかもしれない。
ホテルの一室をずっと利用することで、まるで賃貸マンションの一室のようにして暮らしていた。
だから独り暮らしに必要な生活家電はほとんどホテルのものを利用することになるので所有する必要がなかった。
それに彼はそもそも洗濯はしないと言っていた。
その話を聞いたポン吉は、自分で洗濯せずにホテルのランドリーサービスを利用するのだろうと思ったのだが違った。
彼は洗濯が必要になった衣類は、人からのプレゼントとか特別な物以外は、ほぼすべて捨てていた。
彼はポン吉と同じような体型だったので、そのことを知ってから毎日、靴下と下着以外は頂戴していた。
そのような生活だから当然お金がないとできないのだが、彼は決してお金持ちっぽくなかった。
高級品を身に着けたり、高級外車に乗ったりもしてなかった。
ホテルから出かける時も、ホテルで待機しているタクシーに乗らず、歩いて地下鉄の駅に向かう。
新幹線も普通車だし、飛行機もエコノミークラスだった。
1皿100円の回転寿司も喜んで何皿も食べていた。
もっともそれはポン吉のレベルに合わせてくれていたのかもしれない。
だから1杯数百円のお酒と同じような感覚で1杯数万円もするビンテージワインをがぶ飲みすることもあった。
回転寿司と同じようなノリで金額が書かれていない寿司屋で少年のようにパクパク食べることもあった。
その日に持ち合わせているお金を全部使おうとしているように感じられた。
執着心も捨てる
お金に執着していないようだった。というより、所有することそのものに執着していなかった。
住居も持ち物も、そして家族も持たない生活。これだけ聞くとホームレスと間違いそうだ。
お金も含めて所有物を最小限にする生活。なんか仙人みたいだ。
蓄えることのない彼の生活はポン吉のように子供がいる専業主夫には真似できない。
それにポン吉は彼からもらった服をいまだに着ている。
捨てられる運命だった物を、救ったのだからと思うところが、物が片付かない根本的な原因かもしれない。
やはり物だけでなく執着心も捨てなければミニマリストにはなれそうにもない。